【吉田恭平のスタンドプレイ 第6回】イタリアトライアウト-ヴィアレッジョ編その2
国内トライアウトから時間は流れ、いよいよイタリアへ出発の日。
深夜に東京羽田空港を出発し、カタール・ドーハを経由してイタリアへ。今回のイタリアセリエAトライアウトを受けるのは2チーム。
ヴィアレッジョ滞在2日目。ついに今日からトライアウトが始まります。
チームの練習は夕方18時から。
朝起きると外は快晴。ホテルの目の前にはすぐビーチ。
長時間の移動で固まったカラダをほぐす為軽くランニング。
ビーチには無数のパラソルとビーチチェアが常設されており、多くの人達がビーチを満喫していました。さすがはビーチリゾート地。
ランニング後は朝食をとり、その後はイタリア語での自己紹介と、ビーチサッカーの試合中、ピッチ内で使うイタリア語を復習。
時間は過ぎ、トライアウトの時間が近づいてきたので、練習場へ。
スター選手ばかりのチームと合流
ホテルから10分ほど歩き練習へ到着すると、そこにはヴィアレッジョのビーチスタジアムが!!
素晴らしい環境でした。スタジアムの隣にはカフェが併設されており、カフェの正面にはビーチバレーコートも。改めてその時、セリエAで、このスタジアムでプレーしたい!そう思いました。
素晴らしいプレイ環境に驚いていると、続々とヴィアレッジョの選手達がやってきました。
最初に声をかけてきたのは、現イタリア代表のダリオ・ラマチョッティ。
そして、ヴィアレッジョのキャプテンであるシモーネ・マリナイやヴィアレッジョとイタリア代表エースのガブリエル・ゴリ(共に現イタリア代表)
他の選手達も全員集まったところで、監督がイタリア語で何やら話し始めた。内容は詳しく分からなかったが、どうやら自分の事を説明してくれているようだ。
そして監督から「自己紹介をしてくれ」と…多分言われたので、覚えた下手くそなイタリア語で自己紹介をすると、選手全員が笑顔で拍手をして迎えてくれたので、リラックスする事が出来た。
ヴィアレッジョは一言で言うと「家族」のようなチームで、疎外感は一切なく温かく迎え入れてくれた事は素直に嬉しかった。
トライアウト開始
しかし、本番はここからだ。
ここでのトライアウトは、テストマッチではなく、チームの練習に参加し、プレーする中で判断されるというもの。
練習の最初のウォーミングアップはフルコートの中で、リフティングでボールを落とさず繋ぎながらプレーするゲーム。
チームはリラックスした雰囲気だったが、チームメイトと自分の立場は違う。
試されている、見られている立場なので常に集中して練習に入っていった。
そして練習は進み、最後は紅白戦。
紅白戦が始まると今までのリラックスした雰囲気とはガラッと変わり、ピリピリとした緊張感がその場を支配していった。
味方同士削り合う激しい紅白戦。
そんな中、紅白戦での自分自身のプレーの感触は悪くなかった。
自分のプレーの特徴を出しながら、ゴールも決めた。
良い手応えがあった。
だが、すぐにレベルの違いを突きつけられることになる。
紅白戦の中で強い衝撃を受けた選手がいた。
その選手は、ヴィアレッジョ・イタリア代表エースのガブリエル・ゴリ。
ピヴォ(最前線のFW)のポジションを務め、エースとしてチームメイトの信頼を一手に集める彼にボールが集まりだすと、彼はチームメイトの信頼にすぐさまゴールという形で答えてみせた。
代名詞でもある左足から放つオーバーヘッドの精度・威力は今まで目にした事のない高いレベルのものだった。
「外国人としてこのチームに加入するには、彼と同等もしくはそれ以上のプレーをしなければダメだ!」それを目の当たりにした時、自分のプレーに対するポジティブな感情は消え去さった。身体中に走った危機感をエネルギーに変え、がむしゃらにプレイした。更なるアピールが必要だと節に感じた。
その後、紅白戦を何本かやり、トライアウト初日は終了。
練習後、監督は「良いプレーをしたな。だが、それを続けれるのかを明日も証明してくれ」と言った。
その時の監督の言葉とは裏腹に、頭の中を支配していたのは、「もっと質の高いプレーをしなければ、自分は生き残れない」という強い危機感だった。
続く。
吉田恭平
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