田畑輝樹インタビュー W杯を振り返って

ほとんどしたことがないというオーバーヘッドキックでのゴールシーン

そういったことを踏まえて、今後日本が世界で戦うためにはどうしたらいいと思いますか?

もっとゲームをコントロール出来る選手が増えないとダメです。単純にいえばピッチにゲームメイカーが3人いるとか。一人だけではゲームはコントロールできない。理想は全員が理解しているのが好ましいですが、2〜3人は欲しいです。

今どういう状況なのか、攻める時なのか、ボールを回してタイミングを作るのかとか、というゲームをコントロール出来る選手が必要です。国内で見ていてもそういう選手はいないです。

というと、現状の日本のビーチサッカーは自分の仕事だけを専門にやってる、という感じですか?

多分そうだと思いますよ。代表に行くと国を背負って戦うことが中心にあるので個を出すのはなかなか難しいですが、それでも出していかないと。良い素材はいるので全体的にもっともっと色々な選手が出てこないと世界で通用する、世界で勝つには人材不足かなと。

代表メンバーが長年変わらないのも事実だけれど、単純に今の代表メンバーをガラッと若い選手に変えても世界で戦うのは難しいと思います。結局若くて代表に来ても活躍できないとか、そういうのも見てきました。代表で活躍するには所属チームで圧倒的な存在で君臨しているくらいでないと代表という舞台では難しいんじゃないですか。

若い世代にもチャンスは色々と与えられてるとは思うんですけど、もっと食い込んでこないと世界で戦うレベルには届きません。

僕も最年長で、世間から見たら世代交代だとか言われてるかもしれないですけど、そういう場所は自分で掴む物だと思っているし、そもそも譲る気もないですよ。「俺の席あげるからどうぞ」っていうのはおかしな話だし、代表にいる選手はみんなそう思っている。自分の力で奪い取れ!という感じです。それじゃないと代表では活躍できないし、そこに居続けられないです。

プレッシャーというか、代表でい続けることは大変ですか?

もちろんです。長くいるから慣れてるなんて思ったこともないし、常に誰かに奪われてもおかしくない、けれど譲りたくないという気持ちを持ち続けています。

世代交代も大事だと思います。若い選手が出てこないといけないと思います。けれどそれが出てこないということは実力が足りていないということですよね。代表の選手は監督のお気に入りとかと思ってる人もいると思いますが、やっぱりみんな実力を評価されて代表に呼ばれていると思います。

ビーチサッカーの今後をどう考えますか?

個人的には10代とか、それより下の世代にビーチサッカーという選択肢を選べる環境を提供すること。そういう道を作って導いてあげたいと思っています。最終的にサッカーに行くのか、行かないのかは別として「自分はビーチサッカーが向いてる」「ビーチサッカーなら活躍できる」という子が出てきてもいいと思う。サッカーが上手くなくてもビーチサッカーでバリバリに活躍しちゃう、なんて話も普通にあるので。そういう選手を育てたいですね。

チームや競技人口も少しづつ増えているし、楽しみとしてプレイする人もいていいけれど、やっぱり見ている人も楽しませる競技になってほしい。そのためには選手のレベルアップは必要なので強化はしていきたいなと思っています。だからといってすぐにどうこうではないですが、上手くて楽しんでプレイできる選手が生まれるきっかけとなれるような仕事はしていきたいと思っています。

田畑輝樹(たばたてるき)

1979年鹿児島県生まれ。
鹿児島実業高校で全国高校サッカー選手権出場。98年高校卒業と同時にアルビレックス新潟に入団。2007年にビーチサッカーに転向。その3ヶ月後にビーチサッカー日本代表に初招集。中国との国際親善試合でハットトリックを決め代表デビューを飾る。2011年第1回ビーチサッカーブラジル選手権にCRヴァスコ・ダ・ガマのメンバーとして日本人で初出場し準優勝に貢献。2017年FIFAビーチサッカーワールドカップ バハマ大会のポーランド戦では代表国際Aマッチ100試合を達成。2019年のパラグアイ大会でワールドカップ通算8大会出場。

所属チームヴィアティン三重BSでは選手兼監督を務める。

Photo=Beach Football

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