【吉田恭平のスタンドプレイ 第11回】イタリアトライアウト-ミラノ編 最終章
帰国の途
ミラノのホテルを引き上げ、ミラノ・マルペンサ国際空港へ向かうタクシーの中「帰りたくねーなー」と呟いた。
何故なら、この国に暮らす人が僕を温かく迎え入れてくれたから。
ビーチサッカーの時だけでなく、選手・スタッフだけでもなく、多くの人に助けられた約2週間だったからだ。
合否の連絡
日本に帰国後、代理人から連絡が入った。
遂に今回のトライアウトの結果が!
「結果はどうでしたか?」と尋ねると代理人からは、「契約には至らなかった…」と告げられた。
その後何故契約へ至らなかったのか、何が足りなかったと監督が感じたのかを説明してくれた。
正直、僕は失望した。
トライアウトの結果も勿論悔しかったが、それよりも「自分自身の認識」と「イタリアセリエAのチームが求める外国人枠選手」の認識の差をハッキリと感じたからだ。
自分自身が感じたプレーの中の手応えや、問題なくプレー出来たという次元ではなくこの国のリーグで求められるのは「突出した実力と試合での結果」しかないという現実。頭では分かっていたつもりだが、本当の意味で理解出来たのはこの時だった。日本の吉田恭平というビーチサッカープレーヤーには、お金を払って契約する価値がないという判断だ。吉田恭平の値札には「0円」と書いてあるのだろう。
これがイタリアのトライアウトの結果。当然望んだ結果ではなくすごく残念だ。
しかし最大の収穫でもある。この結果を手に入れる為にイタリアへ行ったのだから。望んだ結果ではなくても…だ。
このトライアウトで僕が手に入れた最大の収穫は「自分自身の認識と現実の差」を体感した事。まるで濃く立ち込めた霧が晴れていき、登るべき山がハッキリ見えたような。そんな気がした。
ここからが本当のスタートだ。
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