【吉田恭平のスタンドプレイ 第7回】イタリアトライアウト-ヴィアレッジョ編その3

ヴィアレッジョ・トライアウト2日目

自分に残されたのはあと2日間。
セリエA開幕が迫る。 セリエA・コッパイタリア・ヨーロッパチャンピオンズリーグ。すべてのタイトルを取るために獲得した外国人選手がこの日、チームに合流した。メンバーが揃い、監督はチーム作り、プレイモデルの構築を加速させていく時期にチームは入っていく。

この日のチーム練習は、フィジカルコンディション向上とセットプレーを中心としたメニュー。
チームに所属している選手たちには有意義なトレーニングでも、存在をアピールしたい自分にとってはとてももどかしい練習内容であった。
だが、その中でもアピールしなければ!その一心で他の選手が6割で走るところを全力で走り、へたくそなイタリア語でコミュニケーションをとり、ボールを要求し続けた。全てがセリエAに繋がっているんだと信じてやり続けるしかない。

セットプレーのトレーニングでは練習メンバーに入ることができず、ピッチの外から見ることになった。立場上、このトレーニングに参加しない事は最初からわかっていた。そもそもセットプレーのトレーニングは核となるメンバーを中心に行うのが当然。ビーチサッカー選手として、それは理解している。理解しているのだが、そこに参加できていないことに大きな焦燥感を感じた。自分をアピールできているのか、という焦りを感じながらこの日の練習はそのまま終了した。
最初から自分の立場は理解していた。だが実際にセットプレーのトレーニングをコート外から眺めていると、改めて自分の立場やチーム内の序列をまざまざと突き付けられた。

悔しかった。
明日必ず監督に欲しいと思わせてやる。そのためにできる事は全部やってやる。

ヴィアレッジョ・トライアウト 最終日

そしてヴィアレッジョのトライアル最終日。
朝起きると、なんと外は雨!最悪だ!これでは試合ができない!頼むから止んでくれ!と言う願いも虚しく…雨はその後も振り続け、最終日の練習は室内ビーチ施設でのトレーニングとなった。

室内のビーチバレーコートでは、ダッシュを繰り返したり、体幹トレーニング、基礎トレーニング、フットバレーという流れで練習を行った。

こんな状況だが、やれる事はやってやる!
練習の最後にはフットバレーを行った。自分はガブリエル・ゴリ(現イタリア代表)とペアを組み、チームの中で2 位となった。
これがアピールになるのかわからないが、全力でフットバレーをした。そうする事しか出来ることが無かった。
正直、最終日の雨はものすごく残念だった。

ヴィアレッジョ・トライアウトを終えて

このヴィアレッジョでの三日間を総括してみると、ステファノ監督に自分がどういう人間でどういうプレーをする選手であるのか。理解してもらえたのかどうか正直わからない。だが、やれる事はやった。

自分の中で、イタリアに来て起こるであろう問題が実際に起こり、それに対して自分なりに対処できていたと思う。だが、やはり「外国人選手」としての自分の価値や存在感、チームが望むもの、監督が望むもの、であるのか?と感じたのが正直なところだった。

ヴィアレッジョが目指すのは、「セリエA」「コパ・イタリア」「チャンピオンズリーグ」の全てのタイトルを取ること。そこに必要とされるという事はどういうことか。実際にヴィアレッジョに来て、ヴィアレッジョのメンバーとプレーし、その意味を肌で感じた三日間だった。

ステファノ監督からは「短い期間だったが、キョウヘイは良いプレイをしていた。チームへ加えるかどうかはコーチと相談してから決めようと思う。」と伝えられた。結果は、後日連絡を待つ事となった。
そして翌日、ヴィアレッジョから列車で、次なる目的地ミラノへ向かった。

ヴィアレッジョ編完結。ミラノ編へ続く。

吉田恭平

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