【吉田恭平のスタンドプレイ 第11回】イタリアトライアウト-ミラノ編 最終章

イタリア トライアウト最終日


準備を済ませ、ホテルからミラノ郊外の練習場へ。
ミラノでのトライアウト最終日は、ビーチサッカー・イタリアセリエAの「ブレシアBS」とのトレーニングマッチ。
ここで自分の価値を示し、監督に認められチームに必要だと感じさせなければならない。

試合前のミーティングで監督から、この試合での自分のポジションは、本来の「アラ」ではなく、最前線の「ピヴォ」だと伝えられた。
(アラはサッカーで例えるとミッドフィルダーで、ピヴォはフォワード)

この監督の判断には正直驚いた。

僕はそれまでピヴォでプレーした事は1度もなかったのだ。
予めポジションも伝えてあったにも関わらず…
一瞬戸惑いはしたが、ビーチサッカーの競技自体が変わるわけではないし、監督がそこに適した選手であると判断した以上はその要求に応え、結果を残すしかない。

試合が始まり、しばらくすると監督から声がかかりピッチへ入った。
(ビーチサッカーは交代を何度でも出来る)

ピヴォのポジションを取ると、マッチアップする相手のフィクソ(サッカーで例えるとディフェンダー)は、屈強な肉体を持ち、身長190センチに迫るサイズで、リーチの違いは誰の目にも明らか!
ビーチサッカーは、ゴールキーパーとフィールドプレーヤー4人の5対5で行い、基本マンツーマンでプレーするので、ピヴォである僕は、フィクソを出し抜かなければゴールを奪えない。
どう考えてもフィジカル勝負では分が悪い。
相手とのタイミングをズラしながらプレーをし、ゴール前でファールを受けフリーキックを獲得!
絶好の得点チャンス!…も外してしまい、チャンスを逸してしまう。

その後も自分の特徴を活かしたプレーは随所に出しながらも、得点は奪えずブレシアとの試合はそのまま終了した。
イタリアでのトライアウトは今日で最終日。明日には一度日本へ帰国しなければならない…明確な結果を残せぬまま。


試合後、ミラノBSのチームメイト達に「一度日本に帰る。チームと契約出来ればまたイタリアに来るよ、2日間だったけどありがとう」と一人一人に伝えた。
そうしてると、1人のチームメイトが何かを持ってきて「ギフトだ!!」と僕に手渡す。
それはなんと彼のユニフォームだった!
わずか2日間しかいなかった僕にプレゼントしてくれるとは!
彼の心遣いが本当に嬉しかった。

またここへ帰ってきたい。
そして共に戦いたいと思わせてくれた出来事だった。

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